ヒルベルト空間の内積の連続性
そのためには、ヒルベルト空間の内積の有界性を示す必要がある。
そしてヒルベルト空間の内積の有界性を示すにはシュワルツの不等式を使う必要がある。
シュワルツの不等式とは|<Φ,ψ>| ≦ ||Φ|| ||ψ|| のことである。
このことはノルムの正値性がなるたっていれば言えるのでさしあたり認める。
|<Φ,ψ>|がψをどうとっても |<Φ,ψ>| ≦ CΦ ||ψ|| となることである。(CΦはΦが決まると決まる定数)
これはシュワルツの不等式からC_Φ = ||Φ|| とすればいえるのですぐいえる。
次にヒルベルト空間の内積の有界性からヒルベルト空間の内積の連続性を示す。
任意のε>0に対して適当なδ(Φ, ε)が常に以下のようなものに取れるということを意味する。
||ψ - ψ1|| < δ(Φ, ε) => |<Φ, ψ> - <Φ, ψ1>| < ε
これは、次のようにすれば良い。
まず、δ(Φ, ε) = ε/C_Φとおく。
そして||ψ - ψ_1|| < δ(Φ, ε)がなりたつとすると、
||ψ - ψ_1|| < δ(Φ, ε)は
||ψ - ψ1||CΦ < ε
|<Φ,ψ - ψ1>| ≦ CΦ ||ψ - ψ_1|| が成り立つことに気がつく。
よって、
|<Φ,ψ> -<Φ, ψ1>| ≦ CΦ ||ψ - ψ_1|| < ε
が成り立つことがわかるので、
||ψ - ψ1|| < δ(Φ, ε) => |<Φ, ψ> - <Φ, ψ1>| < ε
がいえた。証明できた。
参考:岩波 量子力学II