直交補空間
ヒルベルト空間Hのベクトル達Sを考える。これらは部分空間であることは要請しない。
このベクトルと直交するようなHの元達を直交補空間と呼ぶ。
直交補空間は部分空間となっており、また閉じている(閉部分空間になっている。)
閉じているとは、直交補空間内の点列がH内において収束することを意味している。
これは完備であることまでは言っていないことに注意する。
ちなみに、あるヒルベルト空間の部分空間に極限を追加して閉じさせたものを閉包と呼ぶ。
直交補空間が部分空間であることは次のように理解できる。
直交補空間の元|a>, |b>を持ってくる。
これらは、Sの元の任意の元|o>に対し、定義から
<o|a>=0, <o|b>=0 である。
この線形結合 α|a>+Β|b>は
<o|(α|a>+Β|b>) =α <o| a> + Β<o|b> = 0
であるので、やはり直交補空間の元となる。(終)
閉じていることを確認するのはもう少し議論がいる。