超幻日記

素粒子、量子論、宇宙論のことを辺境にいる一人の視点から改めて眺めてみます。単なる勉強帳になるかも。。

ジャルジンスキ等式

ジャルジンスキ等式の原論文「A nonequilibrium equality for free energy differences」を
機械翻訳を援用して一部を訳してみる。

[cond-mat/9610209] A nonequilibrium equality for free energy differences

アブストラクト

ある配位から他の配位へパラメトリックに切り替える仕事の有限時間測定のアンサンブルの観点から、システムの2つの配位間の古典的自由エネルギー差についての式が導き出される。
2つのよく知られた平衡系の恒等式が、この結果の限定的なケースとして出てくる。

本文

熱浴と接触している有限の古典系を考える。 熱力学の中心的概念は、システムのいくつかの外部パラメータが時間とともに変化するようなシステムで行われる仕事の概念である。
(これらのパラメータは、例えば、外場の強度、またはシステムが閉じ込められている空間の体積、またはより抽象的に分子力学シュミレーションの過程でオンまたはオフにされるある粒子 - 粒子相互作用等)。

パラメータが初期点Aからパラメータ空間内の最終点Bまでのある経路γに沿って無限にゆっくりと変化すると、システム上で実行される全仕事Wは初期配位と最終配位との間のヘルムホルツ自由エネルギー差ΔFに等しい (ランダウ-リフシッツの教科書参照):

W =ΔF≡F_B - F_A

対照的に、パラメータが有限の速度でγに沿って切り換えられる場合、Wはシステムおよび熱浴の微視的初期条件に依存し、その平均はΔFを超えることになる:


{ \displaystyle
\bar{W} \geq ΔF (1)
}


ここと以下で述べる式2において、上についているバーは、Wの測定値のアンサンブル全体の平均値を示し、各測定は、最初にAにおけるパラメータを固定して温度Tでシステムと熱浴を平衡させた後に行われる。 (AからBまでの経路γ、およびこの経路に沿ってパラメータが切り替えられる速度は、ある測定値から次の測定値まで変化しない)。 差\bar{W}-ΔFは、ちょうど、散逸された仕事W_dissであり、不可逆プロセス中のエントロピーの増加に関連している。


式1は不等式である。 対照的に、この論文で得られた新しい結果は、次のような等式である。

\overline{\exp{-\beta W}} = \exp{-\beta \Delta F}  (2a)

または同等に

\Delta F = - \beta^{-1} \ln \overline{\exp{-\beta W}}  (2b)

ここで、β≡1 / kBTである。

この結果は上記で記述される非平衡(有限時間)測定のアンサンブルから平衡情報(自由エネルギー差ΔF)を抽出することを可能にする。そして、AからBへの経路γと、 パスに沿ってパラメータが切り替わる速度に独立である。